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元検事の市川寛先生の著書です。
検事時代に、ある事件で証拠不十分と思いながら、被疑者を恫喝するなどして強引に自白させ、
結果的に無罪判決を出してしまったことについての告解本。

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そりゃあ、無罪になるべき人を、起訴するというのは、許されないことです。
結果的に無罪となるとしても、逮捕されてからの身柄拘束、その後の刑事訴訟での審理と、
たいていの人にとっては屈辱的で耐えがたい苦痛を味わい、自分の時間を奪われることになるのですから。

市川検事は、それを分かったうえでやってしまった。その理由は、
 1 上司(次席検事)の指示命令に逆らえなかった
 2 検察庁全体の雰囲気に逆らえなかった
 3 精神的に疲れていた
というところのようです。
市川先生は、本の中で、真摯に自らや検察組織を見つめなおし、繰り返し謝罪されています。

僕が知る検察官のひとりひとりは、正義感があって、人柄も良くて、いい人たちばかり。付け加えるなら優秀。
……いや、本当です。そんなエリート意識に凝り固まった変人とか、サディスティックな人たちの集団じゃありません。
でも、組織全体では、しばしばこういうことが起こる。
なぜこういうことが起きるのか、この本はその理由を推し量るよい材料だと思われます。

最近は、裁判員裁判のおかげか、また前田元検事の証拠偽造事件の影響か、
検察庁は捜査にかなり慎重なようです。
それはよいことなのでしょう。
こういう雑な捜査が行われないよう、切に望みたいところです。

そして、石川先生が第二のキャリアに選んだ弁護士の世界は、
罪を憎んで人を憎まず、がモットーともいえます。
苦い経験を良い意味で生かす、これからのご活躍を祈ります。
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2012.09.16 Sun l 本(ビジネス書・新書) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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